外国から入ってきた釣りのジャンルでフライフィッシングというものがあります。いわゆる疑似餌釣りの一種で、魚の餌になる川虫等を真似て毛針に仕立てて釣るというものです。
書店に行けば、難しく書かれた専門書や、ビギナー向けの簡単な入門書まで多くの雑誌、書籍を目にすることが出来ます。
今回は、そのフライフィッシングの魅力をお伝えしようと思います。
フライフィッシングに必要なものは?
フライフィッシングには専用の竿とリール、ライン(糸)、そして釣り針になる毛針が必要になります。最初に始めるのなら、決して高価な道具は必要ありません。
中古の釣具屋さんで手に入るもので大丈夫です。高価な道具を使ったからと言って、釣りが上手になるわけではないのです。
毛針もそうです。毛針を巻く道具や材料を最初から準備しなくても、通販サイト等で安価で入手出来るものはたくさんあります。
それよりもフライフィッシングはまず、毛針を狙った場所に落とせなければ魚は釣れません。つまり、キャスティング(投げ方)を覚えることがまず最初のステップです。
もちろん最初は戸惑います。釣り針を飛ばす為の錘(おもり)が無い状態で、どうやれば魚がいる場所に届けられるか?を最初に覚えましょう。
フライキャスティング(投げ方)上達のコツ
フライライン(糸)を竿に通し、ラインの先にハリスの代わりになるリーダーというものを付けます。先端には毛針の代わりになるものなら何でも構いません。ただ、軽くなければ練習になりませんので、毛糸のような物を数センチ結んでおきましょう。
そして、竿先からリーダーとラインを5メートルくらい出して、竿とラインを一緒に持ち左右に振ってみます。フライラインは普通の釣り糸よりも重く出来ていますので、ちょうど鞭をふるような状態になります。
左右に振りながらラインの先に付いた毛糸が伸びきるタイミングを覚えましょう。短い距離なら、次第に体がその感覚を覚えます。
ただ振り回すだけでは毛糸は飛んでいってくれませんので、左右に振りながら手を止めてみます。すると、あら不思議、重さの無い毛糸がラインに引っ張られてその先へと飛んでいきます。
そう、それがフライキャスティングの原理です。後は左右に振っていた竿を、徐々に立てていき、自分の耳の横で触れるようになれば、もう毛針は前に真っ直ぐ飛ぶようになります。
毛針を付けて川や池に行ってみる
何度かフライキャスティングの練習を続けていれば、自分の耳の横で竿を立てて、毛針を前に飛ばせるようになります。そうなったら近くの川や池に行き、リーダーの先に毛針を付けて同じように振ってみてください。
ただし、毛針の先は尖っていて、返しが付いていますから注意してください。間違って針が刺さっても直ぐに抜けるように、ペンチのようなもので返しを潰しておいた方がいいでしょう。
日本の川や池には、実はフライで簡単に釣れる魚はたくさんいます。時間とお金をかけて遠方までわざわざ出かける必要はありません。
毛針を浮かせたり、沈めて引っ張ってくれば、外来種のブラックバスやブルーギルが簡単に釣れます。
毛針を前に飛ばす距離も、遠くである必要は全くありません。ほんの5メートルも飛べば、それらの魚たちの生息域です。大切なのは、毛針で魚が釣れることを体感してみることです。
フライフィッシングの奥は深い
フライフィッシングはルアーフィッシング同様、餌を使わないで、ピンポイントにいる魚を誘い出して釣る「攻め」の釣りです。
最初は近所にいる魚を相手にして遊んでいても、不思議なものでもっと難しい魚、もっと綺麗な場所、もっと大きな魚とだんだんとその欲求が強くなってきます。
また、本格的なフライフィッシングの対象になる魚の多くは、絶対数が少なかったりもして、この釣りをやっている人の多くは魚を持ち帰るということをしません。
技術と知恵を使って、警戒心が強い魚を誘い出し、針にかけたときの満足感は、餌釣りには無い喜びがあります。魚との一対一の真剣勝負に勝ったという実感が湧くものです。
つまり、魚を手にしたところで目的を達しているので、力を駆使して戦ってくれた魚に敬意を評し、そっと魚を川に返すのです。もしかしたらその魚はもっと大きくなって、あなたの元に再び釣れてくれるかも知れません。
このようにフライフィッシングは漁ではなく、ゲームフィッシングというカテゴリーに入る、奥の深いものなのです。
