最近いつ読書をしましたか?随分本を読んでいないという人も多いのではないでしょうか。なかなか本を読む機会がない、抵抗があるという読書初心者の人におすすめなのは映画化された作品です。
映画化されていると、ストーリーもある程度わかりやすくなり、読みやすく感じるはずです。一度観たことがある作品ならより一層そう思うでしょう。
今回は、映像化された作品に絞ってご紹介したいと思います。
カズオ・イシグロ「わたしを離さないで」
ノーベル賞を受賞され話題となった日系イギリス人のカズオ・イシグロさんの作品「わたしを離さないで」は、映画化もされましたが、日本では綾瀬はるかさん主演でドラマ化もされた作品です。
とある山の児童施設で育つ少年少女の物語で、彼らは何も知らずにその施設で育っていくのですが、実は彼らは「臓器提供」をするために育てられていたのでした。
このため、ケガや病気などをしないように生活をさせられていました。幼い頃は何も知らずにいたのですが、成長するとともに自分たちに課せられたものを知ることになります。
そんな中でも、彼らは自分たちの親を知りたいと思ったり、誰かを愛したいという気持ちを当たり前のように持ち、育っていきます。
命の重みや尊さなど、この作品から感じ取ることができます。きっと読み終わった時には、深く考えさせられることになるでしょう。
市川拓司「恋愛寫眞―もうひとつの物語」
玉木宏さんと宮崎あおいさん主演で2006年に映画化された「ただ、君を愛してる」の原作です。主人公の大学生・誠人は強いコンプレックスがありました。
それは幼い頃から抱える病気のための塗り薬。これが誠人にとっては強い匂いを発していると感じていて、周りに臭いと思われているのではないかと思っていたのです。
大学に入学して出会ったのは、彼よりも大分小柄な女の子・静流。彼女と初めて出会った誠人は、思わず写真を撮ってしまうのですが、その後一緒にカメラを撮る仲間となるとは思ってもいませんでした。
二人はたびたび森で写真撮影をし長い時間を共にしますが、誠人の心は同級生のみゆきに向かっていました。
ある日、静流は誠人に誕生日プレゼントとしてキスをねだります。まさかそれが静流との最後であるとは気づかないまま…。
コンプレックスを抱えた誠人は、静流と交流をしている内にそのコンプレックスがなくなっていき、思いを寄せる相手とも良い雰囲気になりますが、静流を失ってからようやくその大切さに気が付きます。
本当に大切な存在が近くにあると人間ってなぜもこう忘れてしまうのでしょうか。あらためて、周りの環境に感謝したい思いに駆られるでしょう。
ジョーン・G・ロビンソン「思い出のマーニー」
ジブリ映画として有名なこの作品も、イギリスの作家・ジョーン・G・ロビンソンによる児童文学であることをご存知でしたか?
映画では日本が舞台となっていましたが、原作はイギリスの田舎町を舞台にしているため、また違った雰囲気を感じる作品となっています。
主人公のアンナは児童施設育ちで、現在は養父母の元で暮らしています。しかし、彼女は周りと打ち解けることができず、無気力でいることも多く、そのうちに医師から療養を薦められます。
療養先は養父母の知り合いの住む海辺の田舎町でした。湿地に面した場所には大きな屋敷があり、アンナは妙にこの屋敷に惹かれるようになります。と同時に不思議な夢を見るようにもなります。
その夢に登場する人物がマーニー。湿地屋敷に住んでいるお嬢様でした。彼女との不思議な交流を続けていくのですが、それが現実なのか夢なのかはイマイチ分かりません。
マーニーと過ごした日々は夢なのか、と感じていたある日、一つの事実を知ることになります。孤独を感じることって時にはあるかもしれませんが、実はそうではないということを教えてくれる作品です。
不思議な出会いは彼女にとって必然的なものであり、彼女の夏を大切なものに変えてくれる出来事だったのでした。
まとめ
今回は3作品をご紹介しました。
ひとつはヒューマン的な内容の「わたしを離さないで」、次は恋愛物語の「恋愛寫眞―もうひとつの物語」、そしてファンタジックな内容の「思い出のマーニー」。
どれも、出会いによって人生が変わっていく内容となっているため、登場する人物たちは個性豊かで魅力的でもあります。
きっとこれらの作品を読めば、その世界観にどっぷりとはまってしまうことでしょう。映像化されているため、読み終わった後や読む前に一度作品を観ておくこともおすすめです。
読む前に観れば、登場人物やストーリー展開が入っているのでスムーズに物語に入り込むことができるでしょうし、読み終わった後に観れば、また違った雰囲気を感じることができるはずです。
読書初心者には映像化された作品を手にとってはいかがでしょうか?