埼玉県行田市が発祥のフライはご存知でしょうか?フライというと、から揚げとかアジフライとか、揚げ物を連想しますが、この行田市にあるフライはチジミとお好み焼きを合わせたような食べ物です。
埼玉県内でもあまり知られていない食べ物で、高崎線沿線上の熊谷から吹上あたり、秩父鉄道の行田市近辺という小さなローカルエリアの食べ物です。
フライとは
行田市と言えば、最近「のぼうの城」の話題で一躍有名となりました。ここの産物として足袋がありますが、この足袋を作る女工さんがよく食べていたというのが、このフライらしいのです。
お好み焼きのように、小麦粉を薄く広く伸ばした生地に、キャベツや揚げ玉、豚肉などをつぶして(お店やメニューによって具材はまちまちです。)フライソースをつけて食べます。
フライソースとは、ウスターソースに麺つゆ(味醂と醤油で味付けしているお店もあるので、一概に麺つゆとはならないのですが、砂糖が入っている事からすると麺つゆが多いと思います)を混ぜ、ここはお店によって配分が違うのですが、これをかけて食べます。
お好み焼きであればマヨネーズをかけるところですが、フライに至っては七味唐辛子をかけて食べます。少しピリッとしているほうがおいしく頂けます。
値段の秘密と個人店が多いのは何故か
フライを販売しているお店は、ほとんどが個人店です。価格がかなり安いというのが基本で、500円以下が大半です。安い所だと300円くらいで食べられるお店もありますし、お店によっては昼間フライ屋さん、夜は居酒屋さんという店もあります。
結構有名なお店で山下フライ店がありますが、ここも自宅を改装した作りになっています。正面がアルミサッシの入り口で、なんとなく自宅の窓から入る感じの作りになっています。
中に入ると家族総出で、おばあちゃんもせわしなくひたすら焼きそばを作っています。実はフライだけでなく、焼きそばを売る店もあるのです。フライと焼きそばは相性も良いのです。
これだけおいしいのになぜフランチャイズ化しないのか?恐らく単価が安いので、家族経営以外できず俗にいうニッチ産業的な業界なのかもしれません
味が癖になる
少し水っぽいところはあります。なにせウスターソースと麺つゆですから、生地自体が水っぽくなります。しかしそれが良いのです。
俗にフライソースは、お店の顔でこの味加減で人気度合いがわかるのです。したしたになった生地に七味唐辛子をかけ食べます。
卵と生地が絶妙に絡まるので、お好み焼きを超えていると言っても過言ではないのではないでしょうか。何より値段の割にボリュームがあります。
お持ち帰りも出来ますが、やはり焼き立てを頂くのが一番ですね。アツアツ生地の外側がカリカリ、ソースは入れ放題。この条件が整ったフライは格別です。
また、焼きそばもお店によって麺が違うのでここも特徴的だと思います。老若男女問わず、特に今回ご紹介した山下フライ店はかなり昼時には混雑します。15時に閉まってしまうのもその要因の一つでしょう。
味には定評があるお店です。
行田市の他にも・・
実は発祥としては行田市なのですが、どういう訳だか現在は鴻巣市となった元の吹上方面にあるお店の方が味が良かったりします。
もちろん行田市にも美味しい店はあるんですが、熊谷市、行田市、吹上市と比べると吹上の方が美味しいのです。
値段も微妙に吹上にあるお店のほうが安いような気がします。平均してそもそも値段が安い商品なのでそれ程違いはありませんが、居酒屋さんが割合多い吹上は昼間と夜で使い分けているような気がします。
行田市は観光資源もそれなりにありますから、観光に行った際には是非フライをお試しになっては如何でしょうか?町もこの商品はPRしているので、個人店は力を入れて作って頑張っていますよ。