旅がしたくなる!小説を読んで出かけよう

旅がしたくなる!小説を読んで出かけよう読書

あたたかな陽気が続くと、外へ出かけたくなるものです。ですがお出かけをする前に一度、出かける先が舞台となった作品を読んでみてはいかがでしょうか。

実際にある場所が舞台となった作品は数多くあります。事前にそういった作品を読んでおくと、旅行雑誌などよりもコアな情報が手に入り、より一層その場所を楽しむこともできますよ。

今回は、読むと旅がしたくなるような小説作品をご紹介します。

スポンサーリンク

伊藤左千夫「野菊の墓」

1906年に発表された短い文学作品ですが、何度も映像化され,舞台となった松戸には記念碑も立てられています。野菊の墓は、胸が締め付けられるような淡い恋の物語です。

主人公は15歳の斉藤政夫。彼には幼馴染の民子という少女がおり、彼女は政夫の2歳年上で従姉でもありました。二人はとても仲が良く、それを見た周りの者は「もう子どもではないのだから」と注意をするのですが、当の本人たちは気にしません。

ですが、ある日を境に二人は意識をしだし、恋心が芽生えます。しかし、政夫は進学のために寮へ入ることとなり、無理やりに二人は引き離されてしまいます。

その後政夫は帰省しますが、民子と会うことがなく月日は流れ、再び帰省した際に民子が亡くなったことを知るのでした。

この物語でとても強く記憶に残るのは矢切の渡しに乗るシーンです。今もこの矢切の渡しは千葉と東京を結ぶ観光スポットとしても知られているのですが、それほど遠くない川幅をゆったりと人の手で渡ります。

実際にこの渡しに乗ると、タイムスリップしたかのような気持ちを味わうことができるので、ぜひ体験していただきたいです。

三浦綾子「氷点」シリーズ

北海道・旭川を舞台にした作品と言えば、三浦綾子の氷点でしょう。娘を殺され、犯人の子どもと思われる幼子を引き取る被害者の家族の物語です。

父親である啓三は、犯人の子供だと知って幼子を引き取ります。亡くなった娘と同じ、女の子の赤ちゃんで、陽子と名付けられ育てられます。

妻の夏枝はそうとは知らずに、失った娘の代わりに育てますが、その後事実を知り、それまでとは変わりつい厳しく当たってしまうことも増えていきます。

一方で家族の中で唯一真実を知らないのは、亡くなった娘の弟のトオル。すくすくと育つ陽子ですが、そんな彼女に対してトオルは恋心を抱くようになります。

啓三自身も妻に黙り、息子にも秘密にして犯人の子どもを引き取った事実をずっと抱えながら日々を暮らしていき、苦悩していくこととなります。

この物語でも、何度となく登場するのが見本林。この場所は、旭川にある三浦綾子記念館の周囲にある見本林がモデルとなったと言われています。

また旭川市内には物語に登場する喫茶店なども数多くあるため、実際にこの作品を読んでから訪れると登場人物の感情がよりリアルに伝わってくることでしょう。

万城目学「偉大なる、しゅららぼん」

読んだ後、滋賀県を歩きたくなるのはこの作品。作者の万城目学さんは大阪出身ということもあり、関西地方を舞台にした作品も多く手掛けています。

中でも今回紹介する「偉大なる、しゅららぼん」は琵琶湖の不思議な力をフューチャーした作品です。

琵琶湖の周囲には不思議な力を持つ一族が住んでいるという設定の物語で、主人公は日出涼介というその特殊な力をもつ一族のひとつ、日出家の分家の人間です。

もう一つの一族は棗家と言い、彼らと日出家は長い間犬猿の仲でした。涼介は高校入学と同時に、本家でその特殊な力の使い方を学ぶこととなったのですが、この時出会ったのは本家の長男・淡十郎。

また同じクラスには棗家の長男・広海もおり、彼の高校生活は波乱ばかり。そんな中で起きた事件を解決するために、この二人と協力し合わなければならなくなった涼介でした。

物語の途中で涼介や淡十郎が訪れる竹生島は実際に琵琶湖に浮かんでいます。ここで重要な御神水を飲むこととなります。

竹生島はパワースポットとしても知られており、そこから眺める景色は雄大です。実際に不思議な力を得れそうな感覚に陥るでしょう。

まとめ

今回は国内を舞台にした作品を3つご紹介いたしました。

はじめに紹介した「野菊の墓」は古くからある名作です。割と短い物語なので、サクサクと読むことができますが、読み終わった時には涙が止まらなくなってしまうでしょう。

また次に紹介した「氷点」も深く考えさせられてしまう内容で、シリーズものですがあっという間に読み終わってしまうこと間違いありません。

「偉大なる、しゅららぼん」はちょっとファンタジックな物語で、想像力が掻き立てられる作品でもあります。実際にある場所を訪れると、現実的に不思議な力を持つ一族がいるのではないかと考えてしまうかもしれませんね。

今回ご紹介した作品はどれも映像化されているので、小説を読み終わった後に、映画やドラマ作品をチェックしても良いかもしれませんね。

より一層その世界観を感じることができ、訪れた時にはもっとその場所が好きになるかもしれません。

タイトルとURLをコピーしました