東洋医学の診療所を受診される主婦の方は一位が肩こりの患者さん、二位は腰痛の患者さんです。肩こりや腰痛を発症する原因の一は「体の冷え」です。その次が「家事をするときの姿勢」です。
原因の一つの「体の冷え」は台所仕事の時に冷えています。腰痛は台所で働くときの姿勢や、掃除機を使う時の左右の足の運び方に問題があります。
今回は、これらの問題点について指摘してみたいと思います。
台所仕事で体の冷えを防ぐ方法
ガスなどを使う台所では体が冷えるとは思わないでしょうが、現実には体は冷えます。それは次のような理由からです。
熱源のガス台は腰の高さです。そこで温まった空気は上昇して換気扇で室外に排出されます。冷たい空気が足元に流れ込んできます。熱は対流して伝わるからです。
フラスコでお湯を沸かしてみると対流の現象は観察できてよく理解ができると思います。冬はもちろんですが、夏は冷房で冷えた空気が足元に流れてきます。
その冷気による体の冷えを防ぐ方法ですが、春は冬の衣装のまま過ごし、夏は春の衣装を着るようににします。秋は冬の衣装にして、ソックスは天然素材でハイソックスにしてください。
女性には敬遠されますがシルクの腹巻がおすすめです。オシャレで目立たない実に暖かいものがあります。意外と廉価です。使い捨てカイロは体内酵素の働きを阻害することがあります。
腰痛の防止のために立つ姿勢に気をつけましょう
一般的には立ち仕事をするとき、足の踏みだし方までは気に留めてはいません。しかし右利きの人が右足を左足より前に踏み出して仕事をすると腰痛の原因になります。左利きの人が左足を右足より前に踏み出して作業をしても同じように腰痛になります。
右手を使う時は左足が右足より前です。左手を使う時は右足が左足より前に踏み出してください。二番目に気を付けてほしいのは左右の足の位置を揃えて立ち仕事をすることはNGです。
立ち仕事をするときの基本の姿勢は、使う手が右手なら足は左足が右足より前に踏み出します。何気なくしている動作ですから悪い習慣になっているかも知れません。訓練をして正しい習慣をつけておくと良いでしょう。
台所の仕事だけではなく掃除機を使う時やハタキを使う時なども気を付けてください。歩くときは右手が前のときは左足を前に踏み出しています。それが自然で腰に負担のない姿勢なのです。
姿勢と肩こり・腰痛の因果関係を考えてみる
筋肉が骨格を支えています。骨格が不自然な姿勢になると筋肉も不自然な形になります。その不自然な骨格を絶えず筋肉が支えることになり、毎日不自然な姿勢を強いられると筋肉は硬くなり不自然な形になります。
硬くなると血管を圧泊して血行障害を起こして、ますます冷えて硬くなるという悪循環になります。これが肩こりや腰痛の最大の原因です。
毎日の家事をするとき上に述べたことを守ることは基本ですが、今までの習慣を正していくことが必要です。それには「正しく歩くこと」の訓練をお勧めします。
現代では運動不足が指摘されますが、運動の基本は歩くことだと思います。歩いて全身を動かすと、冷えて下肢に鬱血している血液も心臓に還流され、血行が良くなり冷え症は改善されてきます。
まとめ
人間は恒温動物です。絶えず体温は37℃前後を維持するようになっています。それが「体が冷える」のは冷気による冷えと、血行不良による冷えの二つの原因が考えられます。
冷気にる冷えは身に着ける衣装で調節できます。もう一つは「体を動かす」ことが必要です。益々省力化が進み、体を使うことが少なくなった現代では、自分から進んで動かないと運動不足は解消されません。
流れる水はサラサラときれいで凍りません。流れの悪い血液はドロドロして汚れています。汚れた血液からは健全な細胞は生まれません。
体が冷えて血液循環が悪くなることがすべての病気の始まりです。人も動物です。動くことが健康への早道です。車より自転車、自転車より歩くことです。動く基本は「歩く」ことです。